装具の購入費用はどれくらい必要か?
長下肢装具に限りませんが、装具の種類や仕様によって価格は様々です。
ここではタイプ別の装具の値段について、おおよその目安を記載しますので参考にしてみてください。
なお、どのタイプも身体障がい者手帳を利用して手続きをする場合、費用負担は全体の値段の1割負担で済むので、購入の際には是非とも利用して欲しいと思います。
タイプ別に見る長下肢装具の値段
スペックス(SPEX)膝継手
膝継手に膝の動きをサポートする装置がついた長下肢装具です。
膝を固定するだけの長下肢装具とは違い、歩く時の自然な膝の動きを再現できるメリットがあります。
また膝を固定して通常の長下肢装具のように使うことも出来ます。
欠点は膝の動きの微調整が難しいところと、他の長下肢装具に比べて高価なところです。
費用の目安は10〜15万円。
スイスロック式膝継手
膝を伸ばすと自動で膝が固定される長下肢装具です。
通常の長下肢装具(リングロック膝継手)は膝を固定するために、膝継手の内側と外側にある金具をいじる手間がかかります。
スイスロック式は立つと自動で膝が固定されるため、楽に立てるというメリットがあります。
固定を解除するのもワンタッチで簡単にできるようになっています。
費用の目安は10万円前後(足継手がダブルクレンザックの場合)
価格参考:130,600円((株)松本義肢製作所)
足継手ゲイトソリューション
油圧で足首の動きを制御できる長下肢装具です。
油圧で足首の動きを調整(底屈制動)できるため、ダブルクレンザック継手よりも自然な歩行に繋げやすいというメリットがあります。
欠点は油圧調整機構が故障しやすいところと、比較的高額なところです。
費用の目安は10-15万円。
両長下肢装具(プライムウォーク継手)
プライムウォーク継手により両脚の長下肢装具を連結させた装具です。
脊髄損傷などで両脚の筋力が落ちてしまった方が歩行練習をする時に使用します。
継手が両脚を交互に前に出すことをサポートしてくれるため、左右に重心移動するだけで歩くことが出来ます。
脚を降り出す量を調整できる機能もあります。非常に高価なので注意が必要です。
費用の目安は30万-35万円。
価格参考:312,500円(東名ブレース PW3)
坐骨支持長下肢装具
大腿骨などを骨折した際に骨折部に荷重がかからないようにする長下肢装具です。
早めに松葉杖を使わずに立つ・歩くなど出来ることがメリットです。
欠点はお金がかかることと、全ての骨折に適応できるわけではないことです(適応かどうかの判断は医師に従ってください)。
費用の目安は15万円以上。
価格参考:18,400円(リハビテック A-1-1)
足継手ダブルクレンザック
シンプルで丈夫な構造のため、最もオーソドックスな長下肢装具です。足首の前後にネジがあり、それらを調整することで足首の動く量を調整することができます。
継手がネジだけの単純な構造のため、故障はめったになく体重の重い方でも安心して使用できる丈夫さがあります。
欠点は比較的重いことと、柔軟な足首の動きに対応できないためある程度自力で歩行できる方には歩きづらく感じるところです。
費用の目安は7万円前後。
ハイブリッドシューホーンブレース
短下肢装具であるシューホーンブレースを長くして、長下肢装具にしたものです。
足部がプラスチックであるため比較的軽量なことと、短下肢装具に円滑に移行しやすいことがメリットです。
シューホーンブレースは短下肢装具の中で一番使用されている装具ですので、追加費用なしでシューホーンブレースに移行できるのは大きな利点です。
欠点は足首にネジがないため動きを調整できないことと、プラスチックのため強度に欠けることです。そのため長下肢装具だけの性能は、ダブルクレンザックの方が優秀です。
費用の目安は10万円前後。
RAPS
藤田医科大学で開発・研究されている長下肢装具です。
パーツごとに交換できるモジュラー構造で、その人に合わせて足首の動きや支柱の硬さを自由に選べる点がメリットです。比較的軽量なため、短下肢装具としても使いやすいです。
欠点は強度に欠けるところとネジが緩みやすいところです。足首から膝にかけて通常なら2本の支柱がありますが、RAPSは1本しかないため、体重が重い方では強度不足になることがあります。
またモジュラー構造ゆえネジが多く、長年使用しているとネジが緩みやすいため、定期的なチェックが必要になります。
費用の目安は10-15万円。
ダイヤルロック膝継手
ダイヤル構造の継手で膝の固定角度を変えられる長下肢装具です。
通常の長下肢装具(リングロック膝継手)では膝を完全に伸ばした状態にしなければ膝が固定できません。そのため膝が固く完全に伸ばせない方は、通常の長下肢装具を使用できません。
しかしダイヤルロック膝継手なら膝を曲げた状態でも固定することができるため、膝が伸ばせない方でも使用できるというメリットがあります。
費用の目安は10万円前後(足継手がダブルクレンザックの場合)